特別取材レポート ジャパンインターナショナルボートショー2023|イージーボート・プラス

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ジャパンインターナショナルボートショー2023 特別取材REPORT

キーマンに直撃! 日本海洋レジャー安全・振興協会の活動内容とは?

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一般財団法人日本海洋レジャー安全・振興協会
総括本部長 安田公一

海洋レジャーの安全及び振興等に係る事業を実施するとともに、小型船舶操縦士国家試験の実施に関する事務等を行うことにより、海洋レジャーの健全な発展を目指す一般財団法人日本海洋レジャー安全・振興協会から見た今後のマリン業界について詳しくお伺いしました。

まず、日本海洋レジャー安全・振興協会(以下JMRA)の活動内容について教えていただけますか?
JMRAには、大きく分けると4つの事業があります。1つ目は、小型船舶操縦士免許の事業です。日本唯一の指定試験機関として、国家試験や更新講習を全国各地で開催しています。2つ目が「BAN(Boat Assistance Network)」事業といって、プレジャーボートの民間救助サービス。3つ目は「DAN(Divers Alert Network)」事業。こちらはダイバーのための緊急医療援助システムで、国際展開されているサービスの日本支部を私どもが運営しています。BAN、DANいずれも会員制のサービスです。そして4つ目が「海の駅」事業ですね。「道の駅」の海バージョンと考えていただければ分かりやすいかと思います。全国のマリーナにある海の駅の事務局を私どもが運営しています。
多岐にわたる活動をなさっているんですね。
組織の名前にある通り、海洋レジャーの安全と振興、その両方に取り組んでいます。
近年、マリンレジャーの人気が高まっているといわれていますが、安田さんもそうお感じになっていますか?
盛り上がりは感じていますね。ここ2年は船舶免許の取得者数が前年比プラス20%ほどで推移していますし、BANの会員数も同じく増加しています。やはりコロナの影響で、旅行に行けない代わりに海のレジャーを楽しもうという方が多かったようです。レンタルボートの利用者も増えているようで、人気のあまりボートがなかなか借りられないといった事態もあったそうです。
コロナが終息しても、業界としてはこの流れに乗りたいところですね。
業界全体として、このビジネスチャンスをものにしようと各社さんが取り組まれています。特に一過性のブームにしないというところで知恵を絞っておられますよね。ただ、先のことを予測するのは難しい。そもそもコロナでボートに注目が集まったこと自体、ビックリでしたから(笑)。これからどうなるのかも全く分かりません。
安田さんご自身のことについても少しお伺いできればと思います。現在のお立場になるまで、どのようなご経歴を歩まれたのでしょうか?
私は東京商船大学(現在の東京海洋大学)出身です。大型船を運航する「海技士」の免許を取得しましたが、卒業を迎えるころは大型船の船員が絞られていた時期でもあり、小型船のほうに舵を切ってこちらの協会に就職しました。そのまま現在まで在籍している形です。
仕事をするうえでのやりがいは、どのあたりにありますか?
難しい質問ですね(笑)。JMRAの4事業のうち、私は船舶免許試験に携わっておりますので、安全面に関する部分で少しは役に立てているのかなとは思っています。免許を取った後のことについて関わるのは難しいですが、最初のハードルとして役割を果たせているかな、と。
安全というお話がありましたが、日本のマリンレジャーの安全面についてはどのようにお感じですか。海外との違いなどがあるのでしょうか?
海外と比較することはできないと思います。免許制度も国によってさまざまですし、水面自体も同じではないですから、どこが安全とはなかなか言えません。日本における安全面での動きとしては、ライフジャケットの義務化が挙げられますね。2018年より、小型船舶に乗る人はライフジャケットを着用することが法律で義務付けられました。私どもにできることを挙げるとすれば、5年ごとに免許の更新がありますので、その機会に免許取得者に対して安全面の意識を植えつけていくことなどですね。
ボート業界でも、自動車のような電動化や自動運転などの新たな技術が生かされつつあると思います。協会として対応を求められている部分はありますか?
今のところは、特にないかと思います。大型船の無人化という話が出てきていますが、実はそれが言われ始めたのは30年も前のことなんです。30年経って、ようやく実用化がかすかに見えてきたかな、という段階です。海上を移動する船の場合は、位置情報の取得が陸上よりも難しい部分がありますし、天候の変化も激しいですから、まだまだ課題は多いと思います。電動化に関していえば、出力がもつのであれば、船もそちらの方向に進んでいく可能性はあるでしょうね。電動の大型船の開発が進んでいますが、その流れが小型船舶に来るかというと……まだまだ想像しづらいところです。
SDGsを意識した、海洋環境保全に向けた取り組みは何かございますか?
それほど大きなことはできていませんが、子どもたちを対象にした活動はさまざま行っています。海藻を押し葉にしたり、海洋プラスチックごみを拾って、それを使って万華鏡をつくったり。そうした体験的な教室を小学校で年に数回ですが行っているんです。それを通じて、海への関心を高めてもらえればと考えています。
海を大切にする子どもたちがたくさん増えるといいですね。安田さん、取材にご協力いただき、ありがとうございました!
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